研究内容

□建築鉄骨から発生する脆性破壊の防止に関する研究
 
 一般に,鋼材は強くて粘りがあるので,破断するまでには大きな変形を生じます. ところが,凍らせたバラが少し触れるだけで壊れてしまうように,鋼材でも低温(-100℃くらい)になると,脆く壊れてしまいます. この破壊状況を脆性破壊と言います.鋼材ではさまざまな要因によって,常温でも脆性破壊が生じることがあります. 兵庫県南部地震で日本の建築物としてはじめて脆性破壊が確認されました. この破壊は,発生すると柱と梁などの接合部全体に進むことがあり,それによって建物が倒壊する恐れもあります. 本研究では,脆性破壊を防止するため,建築鉄骨(特に接合部の溶接欠陥など)から脆性破壊発生の危険性があるのか, ないのかを判定する方法を確立することを目的として,実験と解析(有限要素解析によるシミュレーション)を行っています.




□建築鉄骨用高強度鋼溶接部の適切な強度評価に関する研究
 
 鉄骨高層建築の高層化に伴い,鋼材には大断面(極厚)のものが用いられることが多く,さらには高強度化される傾向にあります. そのような鋼材(例えば590MPa級鋼)で溶接組立柱・梁などを製作する際,作業の能率性から大入熱溶接(サブマージ溶接など)による隅肉溶接が一般的に行われます. この場合の深い溶込みが得られますが,その溶込みを考慮せずに隅肉溶接とみなして設計を行うため,過度に安全側の設計となってしまい適切ではありません. 溶接部強度の適切な評価は溶接施工・管理の合理化の点からも重要です. そのため,本研究では,溶接脚長・溶込に応じて変化する破壊機構を解明した上で,異形隅肉溶接部強度の適切な評価方法を確立すること目的に 実験と解析,評価式の検討を行っています.



競争的研究資金
<科学研究費>
基盤研究(C)
 課題番号:16K06598,期間:2016~2018年度,代表・分担の別:代表者
  課題名:繰返し履歴・延性き裂を考慮した欠陥からの脆性破壊予測:累積塑性変形推定方法の確立

基盤研究(C)
 課題番号:16K06595,期間:2016~2018年度,代表・分担の別:分担者
 課題名:溶接欠陥に起因する脆性破壊に決定づけられる終局耐力の予測-接合部の品質管理基準

若手研究(B)
 課題番号:25820276,期間:2013~2015年度,代表・分担の別:代表者
 課題名:繰返し履歴を考慮した欠陥から発生する脆性破壊予測:累積塑性変形能力推定方法の確立

基盤研究(C)
 課題番号:25420600,期間:2013~2015年度,代表・分担の別:分担者
 課題名:欠陥を起点とする延性亀裂の進展と脆性破壊への転化の予測-接合部の品質管理基準

基盤研究(C)
 課題番号:22560579,期間:2010~2012年度,代表・分担の別:分担者
 課題名:溶接欠陥から進展した延性亀裂を起点とする脆性破壊発生の予測-接合部の品質管理基準

若手研究(B)
 課題番号:18760428,期間:2006~2008年度,代表・分担の別:代表者
 課題名:溶接欠陥から発生する脆性破壊の適切な予測手法の開発

<その他外部資金>
平成28年度研究助成(公益財団法人 大林財団)
 期間:2017年度
 課題名:繰返し載荷を受けた鋼切欠き試験片から発生する延性き裂を伴った脆性破壊の予測手法の確立

平成26年度前田記念工学振興財団研究助成(公益財団法人前田記念工学振興財団)
 期間:2014年度
 課題名:繰返し履歴を考慮した切欠きから発生する脆性破壊の予測:累積塑性変形能力推定方法の確立

平成24年度鋼構造研究助成事業(一般社団法人日本鋼構造協会)
 期間:2012年度
 課題名:3点曲げ試験片における異なる切欠きの形状・深さが脆性破壊に及ぼす影響

平成24年度 公益財団法人長岡技術科学大学技術開発教育研究振興会研究助成
 期間:2012年度
 課題名:機械切欠きを有する3点曲げ試験片における切欠き深さの違いが脆性破壊の発生に及ぼす影響

2005年度鋼構造研究・教育助成事業(社団法人日本鉄鋼連盟)
 期間:2005年度
 課題名:柱梁溶接接合部における溶接欠陥から発生する脆性破壊の予測方法に関する研究
 -溶接欠陥の合理的品質管理を目指して-

第7回建築鋼構造研究助成事業(社団法人日本鉄鋼連盟)
 期間:2001年度
 課題名:始終端部に欠陥を有する溶接接合部の脆性破壊に関する研究